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爽快倶楽部編集部


平成22年7月1日
以夷制夷
以夷制夷、自の武力を行使しないで他国同士を戦わせ、他国の侵略が自国に及ばないようにする外交政策である。小国に限らず、大国においても有効な手段である。およそ戦争は、その当事国に莫大な戦費負担と甚大な人的被害をもたらす。かの太平洋戦争、日清、日露戦争、さらに遡れば秀吉による朝鮮出兵、白村江の戦いなど、歴史の示す通りである。前鳩山首相が沖縄普天間基地移転を巡って、その責として辞任したが、これは二重の意味において大きな失策である。
自民党時代の米国との約束を反故にするなら、日米安保条約の見直しに踏み込まねばならない。同時に徴兵制の復活を含めた自国の軍備拡大を、現実的問題として検討しなければならない。現在の日本国憲法において、はたしてそれが出来ようか。仮にできたとして、それは日本の正しい道であろうか。
戦前、そして戦後も続いた沖縄県民の苦しみを理解し、その軽減を検討することは当然である。が、それを現実にならしめる為に、東南アジア全域における要衝の軍事的基地としての沖縄の地理的意味を理解する必要がある。沖縄から米軍基地を移動させるとすれば、米軍の極東軍事戦略と連動し、日本の自衛隊による防衛線確立を含め 、どの部隊をどこに移し変えるのか決定しなければならない。こうした議論が、果たしてあっただろうか。この検討なくして沖縄から他への移設は現実性をもたない。沖縄県民にできぬ約束をして何になろう。苦しむのは沖縄である。これが、前鳩山政権による二つ目の失策である。
以夷制夷、戦わずして自国を守る、おそらく最上の策であろう。故に、これを現実のものとするには、まず自国が置かれた国際環境を政治的、地理的に知らねばならない。
国をいかにして守るか、その議論は、戦後一貫して、タブーとされてきた。その理由の一端としてメディアによる世論誘導があろう。それは現実に目をそむけることだけであって、何の解決ももたらさない。非核3原則、集団的自衛権など、有事の際には絵にかいた餅である。
国家の防衛、その議論を始めるべきときが来ている。
爽快倶楽部 編集長 伊藤秀雄




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