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爽快倶楽部編集部


平成20年7月1日
内憂外患
いつの世にも、政治の世界には尽きぬ内憂外患である。
内では、昨今の後期高齢者医療制度、消えた5千万件の年金、度重なる役人による不正、拡大する所得格差、食品偽装、諸物価の値上がり、理由な凶悪殺人事件・・・まさに枚挙にいとまがない。
外では、原油、穀物国際価格の高騰、米国による北朝鮮テロ国家指定の解除、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出削減、温暖化による地球的規模の以上気象・・・こちらも枚挙にいとまがない。

戦後の時代の中で、今日ほど希望を見出せない時代はない。敗戦後、焼け跡には復興という希望があった。昭和30年代、所得倍増・高度成長という希望があった。それ以降、すくなくともバブル経済までは大波小波があったが低成長安定のなかでつつましい希望があった。そしてバブル崩壊による失われた10年の後に起きたのが、まさに今の状況である。

今も続けられている骨太の方針、これがすべての元凶である。骨太の方針とは本来、国の財政悪化に対する処方箋として行われたものであるが、国債発行削減は正しかろう。公共事業削減も正しかろう。が、それらすべてを一般会計の中で賄うというところに大きな問題がある。国家財政の中には一般会計のほかに巨大な特別会計が存在する。この特別会計の使い道についてはそのほとんどに国会、政府の監視の目が入らない。役人が自分たちの思いのままに使える財源である。この巨大な財源を放置されたまま一般会計歳出削減を行った結果、いったいどうなったのか。それがまさに今の現状である。

かっては日本の復興、高度成長を日本独特の官僚政治とほめそやした時があった。私はこれに異を唱えるものである。日本の復興、高度成長は、何よりも勤勉な国民によって、有能な政治家によって、独創的発想豊かな企業人によってもたらされたものに他ならない。もちろんすべての官僚を無能呼ばわりするものではない。中には高邁な理想をもった有意な官僚もいたと思う。だが、今では、その影も形も見えなくなった。すべては、自らの保身のため特別会計の傘の下、天下りを続け無駄な行政を続けるばかりである。

以前、小泉内閣登場の際、聖域なき行政改革と言った。が、はたして彼は最大の聖域たる特別会計に足を踏み入れただろうか。小泉改革の継承といわれる安倍内閣、福田内閣においてそれは実現しているであろうか。

戦後長く続いた自民党政治の中で、今ほど政治が腐りきったときはなかろう。もちろんこれは他の野党を含めてでもある。誰も本気で特別会計見直しを、あるいは公務員制度の抜本的改革を行おうとしているようには見えない。

日本が滅ぶとすれば、この官僚政治によってであろう。
今まさにだれかがこれに取り組まねばならぬときである。内憂外患。
爽快倶楽部編集長 伊藤秀雄




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