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爽快倶楽部編集部


平成18年7月1日
小泉政治とは何だったのか NO.2
 いまだに不思議に思うことがある。
昨年の郵政民営化である。参議院で否決され、前代未聞の衆議院解散となった。そして総選挙である。小泉総理曰く、郵政解散であり、郵政民営化ができなくてなんで行政改革ができるのか、である。国民やマスコミはそこに希望を見、その笛の音に踊り狂った。訳のわからぬ小泉チルドレンの大量当選、そして郵政民営化法案、衆院可決である。それからおよそ10カ月になろうとしている。何が変わったのだろうか。時期総裁選において小泉改革の継承という。では小泉改革は何をしたのか。

 前回も触れたが、道路公団問題、民営化によって公団自体は採算の合わぬ高速道路は作れなくなった。だが、当初計画のほとんどの道路を国の税金で作るという。社会保険問題、小泉政権発足からまもなく年金保険法が上程される。100年安心の保険だという。中身は保険料の値上げ、給付の削減、公務員年金と厚生年金の統合はまったく進まない。国民年金は相変わらずの保険料未収が続く。これが100年安心の年金法だったか。景気回復、今、景気は回復したように見える。企業決算が回復したのは徹底したリストラによるコスト削減である。その結果若年層まで未就職が拡大した。バブル崩壊以降、リストラに加えて各企業が新規採用を抑えてきた。結果、来年の団塊の世代の大量退職による企業社員の世代空白が生まれようとしている。現在求人率は上昇しているという、当然である。本来いるべき世代の社員がいないからである。リストラによって最低限人員の一部が退職していく、欠員ができる。現在の求人率の上昇はその穴埋めに過ぎない。本当に景気回復したらならば、企業は60歳定年を65歳まで延長できるはずだが、そうはなっていない。さらにである。現在も続くゼロ金利政策。1000万円を1年間銀行の普通預金に預けて100円の利息である。これがどれだけ高齢者を痛め続けてきたか。国民はこの事態をよく受け入れてきたと思う。銀行は未曾有の利益を出し、バブル崩壊とともに投入された公的資金のほとんどを返せるようになった。預金者全体が本来受け取るべき利息で自分が作った借金を返した訳である。この間、国民が失った利息を年利3%として計算してみれば、ゼロ金利政策が始まった1999年からの7年間でおよそ100兆円。一世帯当たり200万円である。これを小泉政権は改革と称した。

 改革とは何であるのか。財政再建である。第一に無駄な歳出をやめること、役人が自由に使ってきた特別会計を全廃しすべて一般会計化すること、なによりも明治以降連綿と続いてきた官僚政治に終止符を打つこと、額に汗して働く人間が安心して暮らせること、これである。小泉政治によってどれだけ前進したか。18年度の予算をみれば自ずから明らかであろう。小泉政治の五年間とは、国の借金を増やしたこと、これからも意味のない道路を作り続けること、何の意味のない郵政民営化をしたこと、恥知らずの日銀総裁を戴きながらゼロ金利政策はまだ続けるということ、銀行の借金を国民の金で返したこと、医療費、介護保険料など国民負担を重くしたこと、年金支給年齢を上げたこと、在任中の国民自殺者数を3万人以上維持し続けたこと、出生率を下げ続けたこと、中国、韓国との関係を悪化させ北朝鮮拉致問題解決のブレーキとなったこと、これである。これが改革であるのか、改革であったのか。これが私たちの望んだ改革であったのか。

 事実をはっきりと認識する、もう改革という空しい掛け声にだまされるのはやめにしないか。
爽快倶楽部編集長 伊藤秀雄




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