TOP昭和歌謡曲 − あの時、あの歌


爽快倶楽部編集部


第四十回 ルビーの指環(昭和56年) (1981年)
作詞:松本隆 作曲:寺尾聡 歌:寺尾聰

 寺尾聰、実にいい役者になった。俳優・宇野重吉の長男である。その彼が歌手として放った大ヒット曲である。この年の他のヒット曲には他人酒、ハイスクールララバイ、もしもピアノが弾けたなら、お嫁サンバ、ギンギラギンにさりげなく、風立ちぬ、セーラー服と機関銃などがある。が、この曲ほど、世の中に衝撃を与えた曲はなかった。今、聞いてみると特にメロディが突出していいわけではない。また、歌がうまいわけでもなかった。だが、130万枚を越す大ヒットとなった。人々はこの曲に何を見たのであろうか。

くもり硝子の向こうは風の街
問わず語りの心が切ないね
枯葉ひとつの重さもない命
貴女を失ってから
背中を丸めながら
指のリング抜き取ったね
俺に返すつもりならば
捨ててくれ

そうね誕生石ならルビーなの
そんな言葉が頭に渦巻くよ
あれは八月目映い陽の中で
誓った愛の幻
孤独が好きな俺さ
気にしないで行っていいよ
気が変わらぬうちに早く
消えてくれ

くもり硝子の向こうは風の街
さめた紅茶が残ったテーブルで
衿を合わせて日暮れの人波に
まぎれる貴女を見てた

そして二年の月日が流れ去り
街でベージュのコートを見かけると
指にルビーのリングを探すのさ
貴女を失ってから

ルルルトゥルトゥル・・・・・・ *

 作詞は当時のヒットメーカーであった松本隆、そつなくまとめて書かれてはいるが、内容は単なる失恋した男の話である。何が、この曲を大ヒットに導いたのか。それは寺尾聰という男の存在に他ならない。ジーンズをはき、ブレザーを着、黒いサングラス姿でエレキ・ギターを抱えて歌う、この姿が当時のアイドル主流の歌謡界に飽いた人々に大人の男の色気を感じさせた。当時、人気テレビ番組であった「西部警察」で刑事役として出演していたことも、この大ヒットの要因である。その意味では、テレビと歌手が密接に結びついたその後のヒット曲の生まれ方の典型ともいえるかもしれない。さらに、この年、それまで一世を風靡し国民的人気を持っていたピンクレディが最後のコンサートを開く。時代は大人の歌を待っていたのである。
 再び言うが、寺尾聰、実にいい役者になった。彼のその後の俳優としての成長には目を見張るものがある。今後、彼に歌手としての寺尾聰を望むか、あるいは役者としての寺尾聰を望むかと問われるならば、役者としての寺尾聰をとりたい。
 この歌は役者、寺尾聰が思いがけなく咲かせた一輪の花である。


*「ルビーの指環」歌詞より転載

[この年流行った歌]
他人酒(渥美二郎)
花咲小紅(矢野顕子)
街角トワイライト(シャネルズ)
長い夜(松山千春)
白いパラソル(松田聖子)
ハイスクールララバイ(イモ欽トリオ)
もしもピアノが弾けたなら(西田敏行)
お嫁サンバ(郷ひろみ)
ギンギラギンにさりげなく(近藤真彦)
風立ちぬ(松田聖子)
悪女(中島みゆき)
セーラー服と機関銃(薬師丸ひろ子)

主な出来事  (昭和56年) (1981年)
1-9 東北などで豪雪、死者・不明115人となる。
1-22 警察庁、初の校内暴力対策会議。
1-17 大関貴ノ花が引退。
2-23 ローマ法皇として初めてヨハネ・パウロ2世が来日。
2-27 富士山頂-37℃を記録。史上最低。
3-3 国鉄がローカル線77路線廃止決定。
3-20 神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)開催。
3-31 ピンク・レディーが最終公演。
4-1 薬師寺西塔落慶法要。
4-12 米国スペースシャトルが初飛行に成功。
5-10 ポーランド、ワレサ「連帯」議長来日。
5-17 ライシャワー元駐日大使が「核持込」に関する日米口頭了解に関し発言。
6-15 オランダで日本人留学生がオランダ人の女性を殺害、死体をバラバラにし一部を焼いて食べるという事件が発生。
6-17 東京・江東区森下の商店街で覚醒剤常用の元寿司職人が、主婦とベビーカに乗せていた長男、長女の3人に包丁を突き刺して死亡させ、また近くの酒屋店前を歩いていた女性の腹部を突き刺し死亡させた事件が起きる。
7-17 閣議で、奥野法相が「北朝鮮当局が日本人妻の里帰りを今なお認めないことは誠に残念である」と、初めてこの問題に言及。
7-20 「電子郵便」(ファックス)の実験サービス開始。
7-29 チャールズ皇太子とダイアナ・スペンサーが結婚。
9-1 東京で五つ子が誕生。
9-14 鈴木首相、首相として始めて北方領土を空から視察。
9-27 フランスで高速列車「TGV」が、パリ−リヨン間で営業開始。
10-1 国鉄が「フルムーン夫婦グリーンパス」を発売。CMが話題となる。
10-9 パイオニアがレーザーディスク・プレーヤーを発売。
10-16 夕張市の北炭夕張炭鉱でガスが突出し、83人が窒息死。さらに坑内火災が発生、10人が焼死。計93人が死亡、39人が重軽傷を負う。
10-19 福井健一京都大学教授、ノーベル科学賞受賞。
11-5 東京地裁のロッキード事件初の判決公判で、国際興業社主・小佐野賢次(64)に議院証言法違反で懲役1年の判決。
11-13 沖縄でヤンバルクイナ発見。
11-28 ロッキード裁判丸紅ルート公判で榎本三恵子が「蜂の一刺し」証言。
12-10 土光臨調会長、鈴木首相に増税なき行政改革・財政再建を要望。


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