TOP昭和歌謡曲 − あの時、あの歌


爽快倶楽部編集部


第二十四回 また逢う日まで(昭和46年) (1971年)
作詞:阿久悠 作曲:筒美京平 歌:尾崎紀世彦

 尾崎紀世彦が登場したとき、誰もがその歌い方と声量の驚いた。彼以前に、そうした歌い方をした日本の歌手は見当たらない。ジミー時田とマウンテンプレイボーイズのメンバーとしてのウェスタンが彼の出発点である。ウェスタンの歌唱の一つにオクターブ上の音をファルセットで歌う発声があるが、彼は高音域を地声のまま大声量で歌う。大きく口を開け、ほとばしる大音量を手持ちのマイクを離しながら歌う姿は、かって歌謡曲歌手にはないものであった。人々はその姿に驚き、歌に聞き入る。

 70年安保に象徴される学生運動が終焉し、時代はエネルギーとしてのイデオロギーが失われる。政治、社会という公なるもの、パブリックから私なるもの、プライベートのなかに若者達の心が沈潜し始める。この年流行ったテレビコマーシャルに国鉄の「ディスカバー・ジャパン−美しい日本の私」がある。時代に夢破れた若者達は都会から出て地方へ向かって旅に出る。そうした若者達に向かって尾崎紀世彦は高らかに、時にやさしく歌いかける。
 
  また逢う日まで 逢える時まで
  別れのそのわけは 話したくない
  なぜか さみしいだけ
  なぜか むなしいだけ
  たがいに傷つき
  すべてを なくすから
  ふたりで ドアをしめて
  ふたりで 名前消して
  その時心は何かを 話すだろう

  また逢う日まで 逢える時まで
  あなたは何処にいて 何をしてるの
  それは 知りたくない
  それは ききたくない
  たがいに気づかい
  昨日に もどるから
  ふたりで ドアをしめて
  ふたりで 名前消して
  その時心は何かを 話すだろう

  ふたりで ドアをしめて
  ふたりで 名前消して
  その時心は何かを 話すだろう
(*)

これは時代から退場した若者達に送る挽歌である。若者達はこの歌に送られ、この年のベストセラー小説「二十歳の原点」「立ち尽くす明日」を詰めて旅に出た。
団塊の世代と呼ばれる人々、とりわけ全共闘世代には、この歌は特別な意味を持つはずである。

(*)「また逢う日まで」歌詞より転載。

【尾崎 紀世彦】
1943年1月1日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。愛称は「キーヨ」。立派な「もみ上げ」がトレードマーク。現在も歌手として現在も活躍中。

[この年流行った歌]
空に太陽がある限り(にしきのあきら
花嫁(はしだのりひことクライマックス
よこはま・たそがれ(五木ひろし)
あの素晴しい愛をもう一度(北山修)
わたしの城下町(小柳ルミ子)
ついてくるかい(小林旭)
青春の詩(吉田拓郎)
おふくろさん(森進一)
琵琶湖周航歌(加藤登紀子)
17才(南沙織)
長崎から船にのって(五木ひろし)
虹と雪のバラード(トワ・エ・モア)
なのにあなたは京都へゆくの(チェリッシュ)
水色の恋(天地真理)
純子(小林旭)
雨の御堂筋(欧陽菲菲)
別れの朝(ペドロ&カプリシャス)
雨のエアポート(欧陽菲菲)
子連れ狼(橋幸夫)

主な出来事 − (昭和46年) (1971年)
1-1 ウィスキーなど輸入自由化。
1-23 ニッポン放送の糸井五郎アナウンサーがマラソン・ディスク・ジョッキーに挑戦、連続50時間の記録を達成。
1-24 グループサンズ「ザ・タイガース」が解散。
1-27 神奈川の葉山御用邸が付属邸の一部を残して放火により全焼、犯人は自首。
2-9 ロサンゼスルスで大地震が起き高速道路が崩壊、ダムにひび割れなどにより死者63人。
3-3 海上自衛隊が、初めて日米合同演習を行う。
3-5 刑務所で印刷した阪大、大阪市立大の入試問題が1000万円で極秘裏に受験生父兄に売られていたことが判明。
3-26 多摩ニュータウンの第1次入居が始まる。
3-28 名古屋市で開かれた世界卓球選手権大会に中国卓球代表団が参加。最終日の4月7日、米国選手団を中国に招待すると発表-ピンポン外交と呼ばれた。
3-31 最高裁裁判官会議が「青年法律家協会に加入の判事補の再任拒否」を決定。
4-2 大阪箕面市にミスタードーナッツの1号店開店。
5-14 横綱大鵬(30才)、「体力の限界」と引退。優勝32回、横綱在位58場所。
6-5 ネズミ講組織「第一相互経済研究所」に国税庁が強制調査。
6-5 東京西新宿に超高層ビル第1号の京王プラザホテルが開業。
6-17 沖縄返還協定の調印式が東京とワシントンで同時に行われる。
6-30 富山地裁、イタイイタイ病訴訟で原告側勝訴の判決。
7- 米国ニクソン大統領が中国と国交を回復、1972年に中国を訪問すると発表。
7-1 環境庁が発足。
7-2 南海・野村克也、プロ入り18年目で500号本塁打達成。
7-4 札幌から函館に向け飛び立った東亜国内航空YS-11「ばんだい号」が函館空港付近で消息を絶ち、函館市北方にの横津岳山頂で激突による散乱した機体と、乗客・乗員68人全員の遺体が発見される。
7-17 プロ野球オールスター戦で、江夏が9者連続奪三振記録。
7-20 東京・銀座三越1階にハンバーガーショップマクドナルド日本1号店が開店し、ハンバーガー1個80円で販売。初日には1万人の客が殺到。
7-30 全日空ボーイング727型機と自衛隊のジェット戦闘機が岩手県雫石上空で空中衝突、全日空機の乗客乗員162人が全員死亡、戦闘機のパイロット2人はパラシュートで脱出。
8-1 ビートルズのジョージハリソン主催で、ニューヨークのマジソン・スクエア ・ガーデンで「バングラディシュ難民救済コンサート」が開催。
8-15 米国ニクソン大統領、金・ドル交換の一時停止などのドル防衛措置を発表。翌16日、東京外為市場にはドル売りが殺到し東京証券市場が混乱−ドルショック。
9-8 中国共産党副首席・林彪、毛沢東暗殺クーデターに失敗、13日逃亡飛行中に墜落死する。
9-16 空港公団、成田空港建設予定地の第2次強制代執行開始、反対派471人逮捕、機動隊員3人死亡。
9-18 日清食品世界初のカップ麺、カップヌードルを発売(100円)。
9-28 東大宇宙航空研究所鹿児島県内之浦観測所から、初の科学衛星「しんせい」の打ち上げに成功。
10-1 一銀行と日本勧業銀行が合併し第一勧業銀行が誕生。
10-10 NHK総合テレビが全番組カラー化。
10-25 国連総会で台湾政府が追放され、中華人民共和国が正式な中国代表となる。
10-31 輪島功一、ボクシング世界ジュニアミドル級の王座獲得。
11-19 沖縄返還闘争デモで東京・日比谷公園内の松本楼が中核派の投げた火炎びんで燃上。
11-14 青函トンネル着工。
11-16 楢崎弥之助、岩国基地に核貯蔵の疑いと発言。
11-26 東京・上野の国立西洋美術館で「ゴヤ展」開催。
11-28 東北・上越新幹線着工。
11-29 経営悪化により大映が倒産。
12-18 土田警視庁警部長宅に小包爆弾。妻が死亡。
12-18 10カ国蔵相会議、ドルの大幅引き下げに合意−スミソニアン合意。
12-24 東京・新宿の派出所でクリスマス・ツリー爆弾が爆発。


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